For Sama

LSHTMでは授業以外にも様々なイベントやセミナーが開催されています。イベント数が多すぎて全部は追いきれません。聞きたいセミナーが重なってしまい涙をのんで片方を諦めることも(録画されて後から閲覧できる場合もあります)。

 

今日開催されたは「For Sama」という先月公開されたばかりの映画の上映会。

これはシリア戦争下のアレッポを舞台に女性映画監督Waadさんとその夫で医師のDr.Hamza、娘Samaの5年間の軌跡を辿るドキュメンタリー映画です。

当初は定員50名ほどの小さな教室で上映する予定が、あまりの鑑賞希望者の多さに急遽学校で一番大きな300名近く収容できるホールで開催することに。

目を覆いたくなる悲惨な環境の中でも小さな希望の光を持ち続け一日一日を死と隣り合わせで生きる人々。当時の自分は何をしていたのか、ただの海外ニュースとして流さずに何ができたのか考えさせられる、深く心に刺さる映画でした。

 

上映後のパネルディスカッションにはなんとWaadさんとDr.Hamzaが登場し会場はスタンディングオベーション

以下、質疑応答の内容を覚えている簡単なメモとして残しておきます。

・医学部を卒業してすぐ内戦が勃発、紛争地帯で病院運営をすることになった。当初は外傷をターゲットにした病院が多かったため慢性期疾患を中心に診療を行っていたが、段々と病院が減りアレッポを追放される直前は20日間で900件近くの手術を行い、1日に300人以上患者が運び込まれることもあった。

・軍により道路が封鎖された後、なぜ危険を冒してまでアレッポに戻ったのか?当時アレッポには住民が30万人近くいたが医師は25人しかいなかった。医師一人一人の責任がとても重かった。

・香港出身の学生から「私も最近までデモに参加していた。親にはデモへの参加を反対されている。今も参加している友人たちがいる中、遠く離れてしまった自分はどう動けば良いのか迷っている。」→「自分たちもアレッポに行くなという親の反対を押し切って活動していた。たとえ前線にいなくてもあなたたちのことを考えている、世界はあなた達を見捨てていない、というメッセージを送り続けることが活動中の人々にとって大きな励ましになる。」

・数多くのシリア難民が「内戦は終わった」として避難先から祖国に送り返されているが、戦いはまだ終わっていない。できることなら自分たちも帰りたいが今も帰れない状況にある。

・現在はイギリスで生活している。そして来年度、LSHTMの修士コースに入学する(!)紛争地での国連組織のあり方に疑問を持ったので保健システムについて学びたい。

 

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